ノクターン

幼少期からピアノのレッスンを始め、中学生くらいまで続けてくると、有名な作曲家の作品を弾く機会も自ずと増えてきます。 特にショパンの「ノクターン」は、レッスンや発表会で弾きたい曲として人気があり、ロマン派の作品に親しむための入り口としても相応しい作品です。ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2や、嬰ハ短調 遺作 等は特に人気があります。

さて、初めて「ノクターン」を弾く生徒さんの演奏を聴いてみると…。 殆どの場合、「ノクターン」らしくない演奏です。 これは仕方ないことで、中学生くらいだとまだ曲に関しての知識や、人生経験が乏しく、どのように弾いたらロマン派らしく、「ノクターン」らしくなるのかわからないのです。また、そういったことを気にしていないこともあるのです。

譜読みも一通り終わり、「ノクターン」らしくない、ショパン的な音楽表現が足りないと感じた時には、このような質問をしてみます。

①「ノクターン」てどういった曲?

大抵答えられません。

→「ピアノのためのキャラクター・ピースの一種。フィールドか創始。フィールドか創始。ショパンやフォーレの作品が有名。通例3部リート形式による表情豊かで哀愁をおびた小曲。」(『新編音楽中辞典』 音楽の友社より)

②日本語ではなんと訳すか知ってる? やっぱり答えられません。

→「ヤソウキョク」

③では、「ヤソウキョク」はどんな漢字で書くと思う?(これは結構盛上る!)

野草曲、野奏曲、野創曲、優奏曲など書いたり答えたりしてくれますが、正解ではありません。

→「夜想曲」

ここまで話を進めて、いよいよ曲の表現のレッスンに入っていきますが、「ノクターン」の意味や日本語で「夜想曲」ということを知っただけでできることでもありません。

そこで、「夜想曲」の「想」に注目してもらい、好きなタレントやアニメ等のキャラクターがいるか聞いてみて、いるようだったらその人やキャラクターに、好きだという「想い」がピアノの音を通して伝わるように弾いてみよう。と提案します。 (ショパンはロマン派の作曲家で、ロマン派は簡単に言ってしまえば、作曲家個人の思想や感情を曲に込めて作曲した時代)

楽譜に書かれている音符に、一音一音想いを込めて音にして弾いていく。 曲の雰囲気から感じ取ったものを、自分の感情と擦り合わせながら弾くことを経験してもらっています。昨日、中学生の生徒さんのレッスンでは、そういったアプローチをしてみることにより、無味乾燥だった演奏が多少なりとも「ノクターン」ぽい演奏になってきました。

ただ、これだけではショパンの「ノクターン」にはならないので、更にショパンが影響を受けていた声楽(ソプラノ)の技法等についても伝えてながら、より音楽的な演奏を目指してレッスンを進めて参ります。どんな演奏に仕上がるか楽しみです♪

ショパン「ノクターン」で、私の好きなピアニスト

ハリーナ・ツェルニー・ステファンスカ女史 、マリア・ジョアン・ピリスさん 、イリーナ・メジューエワさん

良い演奏を鑑賞することでも耳が育ち、表現することへの意欲を増したり、方向性を知るための参考になりますよ。