○○らしさ、○○らしく

自分らしさ、自分らしく。○○さんらしさ、○○さんらしく。○○くんらしさ、○○くんらしく。等。今日のブログのタイトル「○○らしさ、○○らしく」の○○に当てはまる言葉は数多ありますね。

ピアノのレッスン時にも「○○らしさ、○○らしく」の言葉を使うことがあります。

例えば、ワルツを弾いた生徒さんに対して、「ワルツらしく」弾けています!「ワルツらしく」弾きましょう!等です。それまでにワルツを聴いたこと、弾いたこと、見たこと。或は実際に踊ったことがある場合にはピンとくる可能性が高いですよね。一方でそういった経験が全くないと??となってしまのではないでしょうか。

私の教室では、中高生になると名曲、例えばショパン《子犬のワルツ》《ノクターン第二番》、バッハ《インベンションとシンフォニア》《イタリア協奏曲》モーツァルト《トルコ行進曲》ベートーヴェン《ピアノソナタ悲愴》などを弾く生徒さんが多くいます。

こういった名曲を弾く際、もちろん名曲と言われていない数多の素晴らしい作品を弾くときににも大切にしたいのが、「○○らしさ、○○らしく」なのです。

《子犬のワルツ》を弾くときに大切にしたいのは「ワルツらしさ」左手の伴奏形が「ワルツらしさ」を出すために重要になります。《ノクターン第二番》の場合なら「ショパンらしく」も重要な要素になります。ショパンは、歌唱法の一つ「ベルカント唱法」(イタリア語。美しい歌、美しい歌唱の意)を大変好んでいました。彼のピアノ作品の多くにこの「ベルカント唱法」からの影響を見ることができます。これをわかっていると「ショパンらしく」演奏することに近づくのです。さらに左手の伴奏で使われている和声や音型も「ショパンらしさ」の一つです。

以上のことは、名曲を弾くようになるまでに、導入期の教本や、ブルクミュラー《25の練習曲集》《ソナチネアルバム》その他で折に触れて学んでいきます。

年齢や学習段階に応じて、マンガ版の作曲家の伝記を読んでみたり、CDでワルツのCDを聴いてみる、YouTubeでワルツを踊っているのを見てみるなど。自ら興味を持って知識面の学習も補いながら、自分の弾いている曲を「美しい音で間違えずに自分らしく弾く」だけではなく、曲の特徴やスタイル、作曲家の生涯や歴史的背景にまで興味を持ち、良い意味での「○○らしさ、○○らしく」を追求できるように成長してくれると嬉しいですね。

ちなみに、私は今、「バッハらしさ」を求めて、バッハの作品を練習する際に「修辞学」の考え方を踏まえて練習することに取り組んでいます。バッハが活躍していた時代には「修辞学」という学問があり、音楽とも関係が深かったようです。